多様な性

性の多様性とは

  • ジェンダーとは
    • 生まれ持った性器による生物学上の性のことを「身体の性」といいますが、それに対して、社会的・文化的な性差のことをジェンダーといいます。たとえば日本では、「男なら泣くな」とか「女は家庭に入って家事、育児するべき」などの、それぞれが所属する社会や文化によりおこる性差です。「こうあるべき」という偏見をバイアス、社会的・文化的な性差によるバイアスをジェンダーバイアスといい、ジェンダーバイアスをかけずにすべての人に平等に、という事をジェンダー平等といいます
  • SOGIEとは
    • 好きになる性:性的指向(Sexual Orientation)、心の性:性自認(Gender Identity)、表現する性:性表現・性役割(Expression)の頭文字をとってSOGIEといいます。
  • LGBTQとは
    • レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クエスチョニングの頭文字をとってLGBTQといいます

ジェンダー平等な社会へ

当事者の声 1:「トイレに行きにくい」 

  「男子トイレ」と「女子トイレ」しかない場所ではトイレに入りにくいそうです。例えば体の性が女性で性自認(こころの性)が男性の方の場合、女子トイレに行くのはとても違和感があり、男子トイレに行くと、びっくりされるのです。 かといって「多目的トイレ」「優先トイレ」を使うにも、「体は健康なのに使うのは気が引ける」と感じるかたも多くいらっしゃいます。

  ジェンダー平等をめざすならば、どのようなトイレがあるといいのでしょうか。

  コンビニエンスストアでは、男性、女性どちらのマークもあるトイレが増えてきました。

  成田空港第1ターミナルビルでは、より多くの人がトイレを使いやすいものにするため、異性介助やトランスジェンダーの利用を想定した「オールジェンダートイレ」が設置されています。

  他にも渋谷区にあるドンキホーテにはオールジェンダートイレが設置されているようです。少しずつですが、施設や企業で設置されつつあるようです。「どなたでもどうぞ」と表示してあるトイレも増えてきました。しかし、新しい建設をするときに、そのことまで考慮する企業や自治体はまだまだ少ないように感じます。また、オールジェンダートイレを考えるときに「プライバシーの問題」、「スペースの問題」、「資金」などの課題があります。

当事者の声 2:「SOGIEハラスメント」や「理解してもらえないストレス」…みんな心と体の性が一致していて、異性愛者だという前提の世の中

  「性的指向・SO」「性自認・GI」「表現する性・E」に関してのハラスメントを「SOGIEハラ」といいます。

「男のくせに」「女のくせに」「男らしくない・女らしくない」「気持ち悪い」「おかしい」「異性を好きで当然」などの言葉、バカにされる・笑われる、いじめをうけるなどがこれにあたります。「多様な性」という内容に関わらず、その人の人権を損ねるような言葉や態度は暴力に値します。

学校、職場など様々な場で、あからさまなハラスメントはもちろんあってはならないですが、もうひとつ怖いのは、「無意識のハラスメント」です。

他人と会話をするとき、「彼氏(彼女)いるの?」とか、「もっと女(男)らしくした方がいいよ」「男なら(女なら)こんなことできて当たり前」などの会話をしていませんか?あなたには何の罪の意識もないかも知れません。でも、もし相手の方がLGBTQ+…の当事者であれば、どう思うことでしょう。「理解してもらえない」ストレスは計り知れないと思います。また、そもそも、「LGBTQ+」と聞いても、それぞれどのような「性」なのかを理解していない人も多いでしょう。「知らなかった」事が、相手にとって強いストレスになっている可能性があります。時には精神的に追い詰める事にもなります。

この世には男女しかいない(男女二元論)、異性愛が当たり前という考えは、少数派のLGBTQ+のかたにとって、存在そのものを否定されるような感覚になり得るのです。

変わるべきは、多数派(マジョリティ)

あなたの周りにはLGBTQ+の方がいらっしゃいますか?おそらく多くの方が、自分の周囲にはいない、と思うことでしょう。しかし、LGBTQ+の方は、全体の5%~8%ぐらいの割合で存在しているといわれています。当事者のかたでも、自分から周囲の人にカミングアウトする人が少ないため、当事者でない多数派の方(マジョリティ)にとっては、LGBTQ+の方は非常に少ない、まれな人、自分の周りにはいない、と感じるのです。「だったら言ってくれれば」と思うかも知れません。しかし、簡単にカミングアウトできる世の中ではないのが、今の日本です。

個人個人は、理解・共感してくれる人もいらっしゃいます。でも、個人の力ではどうしようもないことが多くあります。学校であれば、校長や先生が多様な性について正確に理解し、「カミングアウトしていない生徒さんがいらっしゃるかもしれない」という態度で全員に接することが大切ですし、制服や校則は見直す必要がある学校はまだまだ多いと思います。社会全体ではトイレ1つとっても、その建物の持ち主や、建築士やリフォーム業者さんの理解が必要です。新入社員の採用にあたっても、その人の見た目、「性」に関係なく採用する事や、社長、役員自らが、多様な性に理解共感している態度を示すことが、会社全体の風潮を左右します。

2023年に、「性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が制定されました。G7サミットにむけて急ピッチでできたような感じの法律でしたが、皆さんの周囲でこの法律を受けて、なにか変わった事はありましたか?

この法律を受け、具体的に動くことができる自治体、学校、会社が増え、多くの人がLGBTQ+の方への理解、共感を深めることができたら、目に見える形で世の中が変わっていくように思います。

  

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